妊活・妊娠中の女性にとって、とくに必要な栄養素のひとつが「葉酸」です。サプリを使って葉酸を摂っている方も少なくありません。その葉酸が男性にとっても必要なものなのか、気になる方も多いでしょう。
本記事では、葉酸サプリによって男性に期待できる効果や、飲み方・注意点などを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
葉酸とは何か
葉酸は水溶性のビタミンB群に属する栄養素です。葉酸には次のようなはたらきがあります。
- 造血
- DNAやRNAの合成
葉酸は胎児の発育においても重要な役割を持つ栄養素です。そのため妊活・妊娠中の女性には、とくに葉酸の摂取が推奨されています。
葉酸は男性にも効果が期待できる
葉酸は胎児や女性のみならず、全ての人が健康に過ごすために必要な栄養素です。男性にもさまざまな効果が期待できるため、不足しないよう意識しましょう。
男女問わず、葉酸によって期待できるのは次のような効果です。
- 健康な髪の維持
- 疲労回復
- 美肌効果
- うつ病の予防
- 動脈硬化の予防
- 貧血の改善
次項から、6つの効果について詳しく解説します。
1.健康な髪の維持
葉酸は、健康な髪の維持に役立つ栄養素です。適切な量の葉酸には、次のような効果が期待できます。
- 枝毛になるのを防ぐ
- 白髪の増加を防ぐ
- 髪の成長を促す
髪の悩みを抱えている男性にとって、葉酸は積極的に摂取したい栄養素です。枝毛や白髪を予防したいのであれば、積極的に葉酸を摂取しましょう。
2.新陳代謝を促進
葉酸には、新陳代謝を促進するはたらきもあります。葉酸は細胞分裂や造血などのはたらきを助けるため、新陳代謝がよくなることで疲労回復につながるなどの健康メリットがあります。
妊活中の男性の場合、疲労によるコンディションの不調は避けたいところです。疲れが抜けない・疲れやすいという方は、葉酸サプリも試してみましょう。
3.美肌効果
前述のとおり、葉酸は新陳代謝を促進する効果が期待できる栄養素です。新陳代謝が促進されることは、肌のターンオーバーにも役立ちます。
男女問わず、肌の調子に悩んでいる方は多いでしょう。肌のターンオーバーが正常にはたらくことで、以下の効果が期待できます。
- 紫外線によるダメージの修復
- 肌荒れの改善
- くすみの解消
肌の調子が気になる方は、積極的に葉酸を試してみてください。
4.うつ病の予防
葉酸はうつ病の予防にも役立つといわれています。なぜなら、葉酸には脳の神経伝達物質の生成を促すはたらきがあるためです。
葉酸は、カテコールアミンと呼ばれる物質の生成に影響します。カテコールアミンが不足すると抑うつ状態になるおそれがあるため、注意が必要です。
葉酸の摂取によって、うつ病の予防や改善が期待できます。
5.動脈硬化の予防
葉酸は動脈硬化の予防にも役立つとされる栄養素です。体内で葉酸が不足すると、ホモシステインと呼ばれる血栓形成の危険因子が増えます。血中のホモシステイン濃度が増えると、動脈硬化を引き起こすといわれています。。動脈硬化は脳卒中などのリスクを高めるため、葉酸が不足しないようバランスのよい食事をきちんと食べましょう。
6.貧血の予防・改善
葉酸は、貧血の改善にも役立つ栄養素です。
葉酸やビタミンB12が欠乏することで起きる巨赤芽球性貧血という疾患があります。葉酸には赤血球の造成をサポートするはたらきがあります。貧血対策を考えている場合、鉄分だけではなく葉酸も摂るようにしましょう。
葉酸の含有量が多い食品とは?
日本人の食事摂取基準(2020年版)において、葉酸の1日あたりの摂取推奨量は、12歳以上の男女ともに240μgです。ただし妊娠中は+240μg、授乳中は+100μgの付加量が設定されています※1。では葉酸はどのような食品に多く含まれているのでしょうか。葉酸は、野菜・果物・肉・卵・海藻類・豆類など幅広い食材に含まれています。なかでも食事に取り入れやすい食品と、1食分に含まれる葉酸の量をみてみましょう※2。
食品 | 1食分の重量 | 1食あたりの葉酸量 |
---|---|---|
とうもろこし(ゆで) | 1本分(100g ) | 86μg |
ほうれん草(ゆで) | 1/2束分(80g) | 88μg |
枝豆(ゆで) | 30g | 78μg |
いちご | 4~5個(80g) | 72μg |
ドライマンゴー | 2切れ(30g) | 78μg |
焼きのり | 全形1枚分(3g) | 57μg |
納豆 | 1パック(50g) | 65μg |
きなこ | スプーン1杯(10g) | 22μg |
いりごま | スプーン1杯(10g) | 15μg |
上記のほか、パセリ・ブロッコリー・豆乳・チーズ・ヨーグルト・レバーなども葉酸の多い食品です。
さまざまな食材を組み合わせることで、毎日葉酸を摂るようにしましょう。
葉酸サプリの飲み方と注意点
葉酸は人間にとって必要な栄養素ですので、妊活中に限らず積極的に摂りましょう。食事からでも摂りやすい葉酸ですが、不足が考えられる場合、サプリを飲むと手軽です。ただし葉酸は日本人の食事摂取基準(2020年版)において耐容上限量が定められています※1。下記はその一部を引用したものです。
年齢層(男女共通) | 葉酸の耐容上限量 |
---|---|
18~29歳 | 900μg |
30~49歳 | 1,000μg |
葉酸サプリを飲む場合、食事とあわせて過剰摂取にならないよう注意が必要です。
男性の場合、普段サプリを飲む機会がないという方も多いのではないでしょうか。そこで飲み方や注意点についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.毎日飲む
葉酸は水溶性ビタミンで、必要以上に摂取しても尿から排出されてしまいます。体に溜めておける栄養素ではないため、毎日摂り続けなくてはなりません。
食事の栄養バランスが悪く、サプリを活用するのであれば、毎日飲むようにしましょう。
2.複数回に分ける
葉酸サプリを飲むときは、複数回に分けて飲むのがおすすめの方法です。葉酸は水溶性ビタミンのため、必要以上の葉酸は体外に排出されてしまいます。そのため葉酸がなるべく長く体に留まるようにするためには、複数回に分けて飲むと効果的です。
「1日2個」を飲む場合、朝と夜、朝食後と就寝前といったように、複数回に分けて飲むようにしてみましょう。
3.時間を決める
葉酸サプリは、時間を決めて飲むようにするのがポイントです。不規則な仕事をしている方の場合、時間を決めるのは難しいかもしれません。しかし飲む時間が毎日違っていると、体内の葉酸量にばらつきがでてしまいます。
なるべく「体内に葉酸がない時間」を作らないようにしなくてはなりません。そこで葉酸サプリは、なるべく毎日同じ時間に飲めるよう調整してみましょう。
4.水か白湯で飲む
葉酸に限らず、サプリは水か白湯で飲むようにしましょう。忙しいと、つい手元にあるドリンクで飲みたくなってしまうかもしれません。しかし水・白湯以外の飲み物には、さまざまな成分が含まれている可能性があります。
葉酸の吸収が妨げられないよう、サプリは薬と同じように、水か白湯で飲むのがおすすめです。葉酸サプリを飲む際は、カフェインを含むお茶やコーヒーなどで飲むのは避けましょう。
葉酸は不足・過剰摂取に注意が必要
葉酸が不足すると、体に悪い影響が出るため注意が必要です。しかし葉酸の過剰摂取にも気をつけなくてはなりません。
- 葉酸の不足で見られる症状
- 葉酸の過剰摂取で見られる症状
それぞれについても確認してみましょう。
葉酸の不足で見られる症状
葉酸はバランスのよい食事によって、十分な量の摂取が可能です。しかし体内には多くの葉酸を蓄えることができません。食事をきちんと摂らず葉酸が不足した場合、次の疾患リスクが高まります。
- 巨赤芽球性貧血
- 動脈硬化
- 精神の不安定
巨赤芽球性貧血の症状には、貧血・疲労・息切れなどがあります。さらに重度になると、下痢・味覚障害といった症状も出るため注意が必要です。
また、葉酸は精神の安定にも影響する成分です。抑うつといった症状が出る場合もありますので、葉酸不足には気をつけましょう。
葉酸の過剰摂取で見られる症状
基本的には摂り過ぎた葉酸は、尿中から体外に排出される仕組みです。食品のみで葉酸を摂る場合、過剰摂取の心配はないと考えられています。
注意したいのは、サプリで葉酸を摂る場合です。過剰摂取では次のような症状が報告されています。
- 発熱
- じんましん
- かゆみ
- 呼吸障害
また妊娠中の過剰摂取では、赤ちゃんが小児喘息を起こすリスクが高まるという研究結果もあります。妊娠中の葉酸の摂取がとても大切ですが、サプリによる過剰摂取には気をつけましょう。
女性だけでなく男性も葉酸サプリによる効果が期待できる
葉酸は、人間の健康を維持するために必要な栄養素のひとつです。女性だけでなく男性も、葉酸サプリによる効果が期待できます。男性の場合、新陳代謝の向上や精神の安定などが、葉酸サプリによって期待できる大きな効果といえるでしょう。
妊活は女性だけでなく、ふたりで進めていく必要があります。普段の食事で葉酸が足りていないとお考えの方は、ぜひサプリの活用も考えてみましょう。
〈参考文献〉
※1 厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|1-6(2)水溶性ビタミン
※2 文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
この記事の監修者
管理栄養士:栗城智子
大学卒業後、食品メーカーにて商品開発や品質保証の業務に従事し、管理栄養士を取得。特定保健指導やドラッグストア勤務において、人々の食事や健康、サプリメントに関する悩みに寄り添う。そのほか医薬品登録販売者、フードスペシャリスト、中級食品表示診断士、離乳食・妊産婦食アドバイザー、日本化粧品検定1級、アロマテラピーアドバイザーなどの資格を保有。食と健康について学びを続けている。現在は子育てをしながら管理栄養士ライターとして執筆や商品監修に携わる。
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