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【インタビュー】妊活中や妊娠中・産後におけるサプリメントの必要性|日本サプリメント協会理事長後藤典子さん

プロフィール|後藤典子さん

後藤典子さん
日本サプリメント協会理事長

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会理事長、NPO法人食品機能性委員会理事長。

同志社大学文学部卒業後、編集プロダクションを経てジャーナリストに。政治・経済評論をテーマにした取材・執筆活動を行う。2001年、サプリメントに関する虚偽・誇大な表示のまん延に義憤を感じ、NPO日本サプリメント協会を発足、中立な情報機関として健康啓発活動を始める。マスメディアでの執筆・評論とともに、講演活動を行う。

主な著作:サプリメント健康事典(集英社)、サプリメント健康バイブル(小学館)、お母さんと赤ちゃんのためのベストサプリメント(祥伝社)など。

一般社団法人日本サプリメント協会 / 特定非営利活動法人食品機能性委員会 / Youtube / X

妊活中や妊娠中・産後にサプリメントは必要ですか?

サプリメントは、食事・睡眠・休息・運動の4つの要素をバランスよく保ち、自分の生活スタイルに合った健康管理ができていれば、必ずしも必要ではありません。

不調を感じておらず、普段の食事から十分な栄養が取れていると実感できるなら、あえてサプリメントを摂取する必要はないでしょう。

ただし、妊活中・妊娠中の葉酸に関しては例外です。葉酸は胎児の健やかな発育に欠かせない栄養素であり、厚生労働省からも、食事に加えてサプリメントといった栄養補助食品での葉酸摂取が推奨されています。(※1)

また、妊娠中に忘れてはならないのが、母体の栄養バランスが産後の赤ちゃんの健康にも大きな影響を及ぼすということです。妊娠中のお母さんが摂取する栄養素が、胎児の発育や生まれてきてからの子供の健康状態や発育を左右すると言っても過言ではありません。

サプリメントは絶対に必要ではありません。しかし、特に妊活中・妊娠中はいつも以上に身体が栄養を欲する時期だと理解し、普段の食事内容に不安がある場合にはサプリメントを活用できるとよいでしょう。

妊活中に葉酸をサプリメントで摂取する重要性を教えてください。

葉酸は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げるために非常に重要な栄養素です。妊娠前から妊娠12週までの摂取が特に大切だと言われており、計画的な妊娠を考えている方は、妊活の段階から意識的に葉酸を摂取すべきだと言えます。

緑黄色野菜やレバーなどに葉酸は含まれており、食事からも葉酸を摂取することは可能です。しかし「葉酸が足りているかどうか」を正確に把握するのは難しいですよね。

葉酸が足りているか心配で不安な気持ちになるくらいだったら、迷わずサプリメントで補うのが賢明でしょう。

赤ちゃんの健やかな成長を願うなら、妊娠中のお母さんが心身ともに健康であることが何より大切です。サプリメントを活用することで不安を解消でき、ストレスなく前向きな気持ちで妊娠生活を送ることができるでしょう。

母体の栄養が産後の子どもの発育にも影響するとのことでしたが、どのような影響が出るのでしょうか。

母親の妊娠中の栄養バランスは、生まれてくる子供の発育と密接に関わっています。例えば、妊娠中にDHAやEPAを多く摂取していたお母さんから生まれた子供は、そうでない子供に比べて言語能力が高いことが、アメリカとノルウェーの研究で明らかになっています。

DHAやEPAは魚油に豊富に含まれる成分ですが、妊娠中の摂取量が子供の知能指数に影響を与えることが分かったのです。

また、ノルウェーが9年間にわたって約11万4,500人の子ども、および9万5,200人の母親・7万5,200人の父親を対象におこなった大規模な研究では、お母さんが早いうちからバランスのよい健康的な食事を心がけていると、言語能力だけでなく運動能力も高い傾向にあることが明らかになりました。(※2)

母体の栄養がそのまま、子供の体作りや脳作りに関与していることを認識していただけるとよいでしょう。妊娠中は自分の健康だけでなく、子供の将来のことまで考えた食生活が求められます。だからこそ、妊娠中に適切な栄養を摂取することの重要性を知っていただきたいと思っています。

バランスの取れた食事を心がけ、必要であればサプリメントも活用する。そんな心構えを持つことは、子育ての大きな味方になるでしょう。

妊娠中・産後における、サプリメントの有効的な活用方法を教えてください。

妊娠中の女性の身体は、やはり通常の状態とは異なります。つわりがひどかったり、気持ち的に落ち込むタイミングが多くなったり。あるいは、身体が重くなってくると、動くのが苦痛に感じることも多くなるでしょう。

食欲がない・つわりで食べられない・ご飯を作りたくないと思うなど、いつものようにバランスのよい食事をするのは、なかなかできないですよね。そうした状況を考えると、タンパク質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラルと言った五大栄養素のバランスを考え、不足分を補うのは、サプリメントの有効活用法だと思います。

身体全体がいつもとは違う状況であるうえに、お腹の中の子どもに栄養を送っていることを考えたら、基本ベースとなる五大栄養素は摂取しておけると安心でしょう。

また、妊娠中や産後は、乳酸菌や食物繊維のサプリメントもおすすめです。妊娠中や出産後は便秘になりやすいので、乳酸菌や食物繊維で腸内環境を整えることが大切となります。スムーズなお通じは、心身の健康にもよい影響を与えてくれるはずです。

母乳育児中のお母さんは、タンパク質を意識的に摂取することで、母乳の質を高められると言われています。普段の食事でタンパク質を十分に摂るのと併せて、必要に応じてタンパク質をサプリメントで摂取するのもよいかもしれません。

つわりに効果的な栄養素があると、先生の著書で拝見しました。

つわりの原因についてはいろいろな説がありますが、ビタミンB6の不足も関係していると言われています。

妊娠すると「キサンツレン酸」が多く尿に排出され、つわりのひどい方はこの物質が特に多いという統計があります。キサンツレン酸の増加はビタミンB6不足によるアミノ酸代謝異常により引き起こされると言われ、このことからビタミンB6の適切な摂取はつわりの軽減に有効だと考えられるのです。

また、書籍の取材時に40名ほどのお母さま方とお話しましたが、妊娠中にタンパク質やビタミン・鉄など栄養バランスのよい食事を心がけて生活をした方は、口を揃えて「ほとんど夜泣きを経験していない」とおっしゃるんです。これには驚きました。

栄養とつわりや夜泣きは、明らかな相関関係がわかっているわけではありません。しかし、母体の栄養から赤ちゃんの身体が作られるという事実がある以上、バランスのよい食事のうえで足りないと考えられる栄養素をサプリメントで補うことは、意味のあることだと言えるでしょう。

サプリメントを摂取する際の注意点を教えてください。

サプリメントを摂取する際に最も注意すべきことは、「摂りすぎない」ということです。どんなに体によいと言われるサプリメントでも、必要以上に摂取すればかえって健康を損なう恐れがあります。

特に、ビタミンAやビタミンDなどの脂溶性ビタミンは、過剰摂取によって健康障害を引き起こすリスクが高いので注意が必要です。必ず推奨されている用法・用量を守り、むやみに摂取量を増やさないようにしましょう。

また、ハーブが含まれているサプリメントについては、妊活・妊娠中は避けましょう。ハーブは医薬品に近い効果が期待できるものも多く、女性ホルモンのような働きをするものもあります。

例えばローズマリーやオレガノなどは子宮を刺激し、子宮収縮を引き起こす場合があります。流産にもつながりかねません。レッドクローバー・ブラックコホシュといったホルモンバランスに作用するようなハーブも、妊娠中は避けましょう。

身体によいと思って始めたサプリメントが、かえって健康を損ねてしまってはいけません。目的や効果、安全性をしっかりと見極めた上で適切に活用することが大切です。

数ある中からサプリメントを選ぶ際には、何を基準にすればよいでしょうか。

サプリメントを選ぶ際に最も重要視すべきなのは、「添加物の少なさ」です。日本では、サプリメントの原材料は重量の多い順に表示することが義務付けられています。そして、原材料名の欄でスラッシュ(/)より右側に表示されているのが添加物の名称です。

つまり、このスラッシュより右側の部分が多いサプリメントは、より多くの添加物が使用されていると考えられるわけです。

添加物の名称を見て、「よく分からない」と感じることも少なくないと思います。例えば、「亜硝酸塩」などは馴染みのない名称ですよね。そんなとき、インターネット上で情報を検索してみるのも一つの方法です。

ただ、大切なのは「自分が摂取して大丈夫だと納得できるかどうか」です。少しでも不安を感じるようなら、そのサプリメントは避けるべきだと思います。

もちろん、すべての添加物が危険というわけではありません。しかし、妊娠中や授乳中は、より慎重になる必要があると考えられます。赤ちゃんの健康を第一に考え、できる限り添加物の少ないサプリメントを選ぶことが望ましいでしょう。

(※1)厚生労働省 e-ヘルスネット|葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果

(※2)Norwegian Mother, Father and Child Cohort Study (MoBa)

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